睡眠時無呼吸症候群（SAS）は、睡眠中に呼吸が止まる症状を指し、多くの人々に影響を与えています。本記事では、睡眠呼吸障害の概要、原因、症状、診断および治療法について詳しく解説します。
睡眠呼吸障害とは
睡眠呼吸障害の定義
睡眠呼吸障害は、睡眠中に呼吸が止まるか、浅くなる状態を指します。睡眠時無呼吸症候群（SAS）や閉塞性睡眠時無呼吸症候群（OSA）など、さまざまな種類があります。これらの障害は、睡眠の質を著しく低下させ、日中の眠気、集中力の低下、高血圧、心臓病、脳卒中などの健康問題を引き起こす可能性があります。
症状と影響
睡眠呼吸障害の主な症状は、いびき、日中の眠気、注意力の低下、起床時の頭痛、疲労感などです。また、睡眠中の呼吸が止まるため、睡眠の質が低下し、深い睡眠が得られなくなります。これにより、日中の活動に支障をきたしたり、うつ病や不安障害などの精神的な問題を引き起こしたりする可能性もあります。
潜在患者数とリスク
日本では、睡眠呼吸障害の潜在患者数は非常に多いと推定されています。特に、肥満や高齢者、喫煙者、飲酒者などは、睡眠呼吸障害のリスクが高いと言われています。睡眠呼吸障害は、放置すると健康に深刻な影響を与える可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。
なぜ呼吸が止まるのか
主な原因とメカニズム
睡眠呼吸障害は、主に気道の閉塞や脳の信号に問題があるために起こります。気道の閉塞は、肥満や首の太さ、扁桃腺肥大、舌の肥大などによって起こることがあります。また、脳の信号に問題がある場合は、睡眠中に呼吸をコントロールする神経がうまく働かず、呼吸が止まってしまうことがあります。
リスクファクター
睡眠呼吸障害のリスクを高める要因としては、以下のものが挙げられます。
- 肥満
- 年齢
- 喫煙
- 飲酒
- 首の太さ
- 扁桃腺肥大
- 舌の肥大
- アレルギー
- 鼻中隔湾曲症
- 家族歴
これらのリスクファクターを持つ人は、睡眠呼吸障害を発症する可能性が高いため、注意が必要です。
睡眠の質への影響
睡眠呼吸障害は、睡眠の質に大きな影響を与えます。呼吸が止まるたびに、睡眠が浅くなり、深い睡眠が得られなくなります。深い睡眠は、身体の修復や成長、記憶の定着などに重要な役割を果たしています。そのため、睡眠呼吸障害によって深い睡眠が不足すると、日中の疲労感や集中力の低下、記憶力の減退、免疫力の低下などの問題が生じることがあります。
診断方法と検査
ポリソムノグラフィー検査
ポリソムノグラフィー検査は、睡眠中の呼吸、脳波、心電図、筋活動などを測定する検査です。この検査によって、睡眠呼吸障害の有無や重症度を診断することができます。検査は、病院の睡眠検査室で行われ、一晩かけて行われます。
エスワープ眠気尺度（ESS)問診票
エスワープ眠気尺度（ESS）問診票は、日中の眠気を評価するための質問票です。この問診票によって、睡眠呼吸障害による日中の眠気の程度を評価することができます。
家庭での簡易モニター
近年では、自宅で利用可能な簡易モニターも登場しています。これらのモニターは、睡眠中の呼吸や心拍数を測定し、睡眠呼吸障害の疑いがあるかどうかを判断することができます。ただし、簡易モニターはあくまでも初期診断のためのツールであり、正式な診断は専門医による診察が必要です。
治療法
CPAP療法
CPAP療法は、睡眠中に鼻や口にマスクを装着し、持続的な気道陽圧をかける治療法です。気道陽圧をかけることで、気道を広げ、呼吸が止まるのを防ぎます。CPAP療法は、睡眠呼吸障害の治療法として最も効果的な方法の一つです。
生活習慣の改善
生活習慣の改善も、睡眠呼吸障害の治療に有効です。特に、減量、禁煙、アルコール制限は、睡眠呼吸障害の症状を改善する効果が期待できます。また、規則正しい生活を送ることも重要です。
外科的治療法
気道の閉塞が原因で睡眠呼吸障害が起こっている場合は、外科的な治療法が有効な場合があります。外科的な治療法には、扁桃腺やアデノイドの切除、舌根部の縮小術などがあります。
まとめ
睡眠呼吸障害は、放置すると健康に深刻な影響を与える可能性があるため、早期の診断と治療が重要です。いびき、日中の眠気、注意力の低下などの症状に思い当たる場合は、早めに医師に相談しましょう。
